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「辞世の辞」

辞世の辞
水上勉/著 ヘンリ・ミトワ/著



毎晩ベッドに入る前に「さようなら、みなさん」といって深い眠りにつき、朝になり死んだはずの一日を自由に生きるという水上勉と、絶望の中で禅道場に辿り着いたミトワが、禅の本質や人間の生の根本などを思う存分語る対談集です。

ヘンリ ミトワ(Mittwer,Henry)
1918年、アメリカ人の父と日本人の母の間に横浜で生まれる。
カソリック学院セント・ジョセフ・カレッジ中退。40年、渡米。
太平洋戦争の勃発により強制収容所へ送還された。
戦後、ロサンゼルスでエレクトロニクス技師に。
千崎如幻の禅堂に通い、法号を受ける。
61年、日本へ。73年より、京都天龍寺の平田精耕の弟子となり、現在に至る。
以前ミトワ先生とは趣味の陶芸の個展を東京で、何度か開いていたのでその時に良くお会いしていた。
京都にもお訪ねしましたが、ここ数年は新年のご挨拶だけになってしまい、もう忘れられているかと??

ヘンリ・ミトワの祈り
サライ・インタビュウー : 大事にしたいものは清貧

いま思うことは、吾唯知足(われただたることをしる)。
欲を出さない、ということです。
禅堂にいると、それこそなにもないんですよ。
カネもなければ、着るものだって何百年とモデル・チェンジのない衣だけ。
それも夏と冬の2枚しかない。ラジオもテレビも新聞もない。
食い物は一汁一菜。一番質素に暮らしているんです。
それでも人間は生きていけるんじゃないかと。
それで充分じゃないかと。もしそれになにかが加われば、
ものすごく豊かに感じるわけです。

だからまず一番どん底の暮らしを知って欲しいと思う。
いまは生まれたときからなんでもありますから、貧乏を知らない。
際限のない欲が人間を不幸にしているのです。
利休がいったように、”家は漏らぬほど、食は飢えぬほど”
がいい。
1年間に3万人以上もの自殺者が出ているそうですね。
現代は多くの人が精神的に追いつめられて、心が曲がってしまう時代なのでしょう。
顕微鏡でゾウリムシやアメーバを見るでしょ。
それを針で突っつくと逃げて行くんです。
意志がないように見える虫でも、死にたくないんですね。

人間って、あまり賢いとよくないね、理屈ばかり考えますから。
人間は、誰だって片道切符です。一日暮らしなんです。
僕なんか、朝、目が覚めて”これ本当に生きているのかいな。
ひょっとしたら、生きていないのに空想で夢まぼろしを見ているのかもしれない”なんて。
寝るときも、”はい、さようなら”で休みます。
一日暮らし。いい言葉でしょ。明日はおまけにもらった一日。

心貧しければ大天地、大ならず。
心豊かなれば小天地、小ならず。


狭い心からは狭い世界しか見えないけれど、広い心でいればどこにいても宇宙を感じとれます。
そうやって生きると、毎日毎日が平和で楽しい。
日々是好日(ひびこれこうじつ)です。

ヘンリ・ミトワ(天竜寺南芳院留護) 
サライ2003年5月15日号  小学館
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